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Fig-3 Typical Wave Damping Record.

イリング状態だけではない。
なお、今回の実験に用いた砂の透水係数は0.14cm/sであり、きれいな砂の透水係数に相当する。すなわち、限界動水勾配程度の間隙水圧であっても0.14cm/sの上昇流速となり、長さ4m、幅0.48mの砂地坦面積に対して2,700cm3/sの流量となる。言い換えれば、水が40cmの砂地盤を通過するには、限界動水勾配の程度の圧力であっても約290秒かかり、砂地盤中の水の動きは小さいことが理解できる。
3-3.消波性能実験
(1)波形記録の例
前節で述べた液状化状態のときに波を作用させると、砂は大きく動く。このとき砂の粒子と粒子の間の摩擦によってエネルギーが消費される。このエネルギーはもともと波から与えられるものであり、波のエネルギーが消費されたことになるので、岸に向かうほど波高が小さくなる。すなわち液状化した砂によって消波がなされたことになる。
図−3は、砂地盤の厚さhs=40cm、地盤上水深h=25cmのとき、T=1s,H=8cmの波が作用した場合の測定記録である。4つの波形のうち上段、中段上、下段が波高、中段下が砂の上面の動きである。砂面の動きは砂面計で計測している。地盤に水を供給し始めると、波に連動して砂が上下に動き、地盤上を通過した波の波高が大きく低下し伝達率は0.25となっている。このときのパルプの開度は、3/8であり、動水勾配は0.47である。砂は、水面より位相が約0.15秒早く、上下に0.6cm程度動いている。
第2章における計算式をこのケースに当てはめると、式(1)よりexp(Dx)=0.25であり、xは4mであるから、D=-0,347m-1となる。また、n=0.718、kh=1.206であるから、式(4)より、G/δ≒3.0kN/m2となる。実験においてはせん断弾性係数Gは測定していないが、仮にδを0.1〜10のオーダーで考えても、G=0.3〜30kN/?となり、通常の砂に比べてかなり小さいことがわかる。
(2)間隙水圧と波高伝導率
図−4および図−5は、横1軸に動水勾配をとって波の伝達率を示したものである。図−4は、地盤の厚さが40cmの場合で、それぞれ3種類の波と二つの水深について実験した結果を示している。水深25cmでは、限界動水勾配の50%程度で伝達率は最も小さくなり、30%以下に達することがある。すなわち、図−3の測定例で示したT=1.0s,H=8cmのケースでは、動水勾配が0.47で波高伝達率が0.25であり、T=1.6s,H=8cmで波

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Fig-4 Wave Transmission Coefficient(hs=40cm).

 

 

 

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